コスプレ造形ボード VS 100均ボード! コスプレイヤー視点で比べてみた
コスプレ造形には欠かせない素材「ボード」。最近は100均でも代用アイテムを買うことができる。
でも、ホームセンターや通販で買える造形用ボードと100均で買えるボードって何が違うの?
それぞれの素材としての特徴と、実際の使い心地を比較してみた。
COSPLAYMODE 2018年5月号掲載記事
素材の特徴を比較
武器や防具など、コスプレで必要な造形物を作る際に必要なのが、軽くて加工しやすい発泡素材。一般に「造形用ボード」と呼ばれる素材だ。
各社からさまざまな名前の商品が登場しているが、どれもそこそこお値段が張る。
そこで最近注目されているのが、100均で売っている代用アイテムたちだ。
今回は、造形用ボードの代表格「COSボード」と100均ボードを比較。
まずは、それぞれの素材としての違いを見ていこう。
COSボード
△ 右から、1.5mm、3mm、5mm、10mm。
色 :白、黒、生成り(ハードタイプのみ)
素材:ポリエチレンを基材とした独立気泡体
価格:¥320(S/1.5mm)〜¥6300(L/10mm)
ホームセンターや通販などで購入できる、コスプレ造形用のボード。今回はクラッセが販売している「COS(シーオーエス)ボード」を使用した。
他にも、コスプレファクトリーの「コスプレボード」や光洋産業の「コーヨーソフトボード(旧名ライオンボード)」、アシストウィッグの「アシストボード」などがあり、メーカーによって名称が異なる。
ちなみにそれぞれの違いは、主に素材だ。コスプレボードとコーヨーソフトボードはポリオレフィン系樹脂、アシストボードはポリエチレンフォームでできている。
厚みは3〜4種、長さはS・M・Lの3種が用意されている。Lは長辺が180cmあるので、大きな造形物も継ぎ足しなしで製作可能だ。
△ ボードの厚みにバリエーションがあるため、製作アイテムに合わせて選ぶことができる。
通常版・ハードタイプ、いずれも他社製品に比べて目が詰まっており、しっかりした質感。
下地無しでも色が乗るというのもウリのひとつ。裏面にノリがついたシール付きタイプもある。
難点はサイズや在庫の関係から購入がほぼ通販に限られること、使用量が増えるとかなりコストがかかるという点か。
△ シール付きタイプのCOSボードと100均クッションテープの比較。一目瞭然だが、COSボードはまっすぐで、クッションテープはへにゃっとしてしまっている。
100均ボード
△ EVAスポンジシート
△ ジョイントマット
△ クッションテープ
色:発売時期・種類により異なる
素材:エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVAシート)、ポリエチレン(ジョイントマット、クッションテープ)
価格:各110円
近くのダイソーや100均ショップに駆け込めば、だいたい置いてあるのが「EVAスポンジシート」「ジョイントマット」「クッションテープ」。
EVAシートもポリエチレン製のクッションテープもちょっと柔らかめな上、ジョイントマットは端がでこぼこかつ片面がコーティングされているので、造型作業をするには少し不便ではあるのだが、面積単価からすると値段は造形用ボードの約6割程度。
また、クッションテープは色が無難な白かつ造形用ボードに比べて格安なので、サイズに問題がなければむしろ切り出す必要がないスーパーお助けアイテムと言える。
表面加工されていない面ならば、そのままでも塗料の乗りは悪くない。
△ 造形用ボードに比べ、各商品ごとに1種類の厚みしかなく、汎用性の高い5mm厚がないので不便。とはいえ、何枚か重ねることで対応可能ではある。
△ EVAシートは、白があまり置いていない上に他の色がなかなかにビビッド。使いやすい色が売っているのを見つけたらストックしておくのが◎。
実際にモチーフを作って比較
ここまで素材として比較してきたが、実際の造形作業ではどんな違いがあるのだろうか?
シンプルなモチーフをCOSボードと100均のEVAシート、それぞれを使って作ってみた。
何がどう違うのか、さっそく見ていこう。
△ 今回作るモチーフの型紙。ベースの形の上に、星型のちょっと立体的なパーツを乗せてみる。
ボードを切る時はカッターの刃をどんどん替えよう
どの素材を使う時でも、切り出す際は新しいカッターの刃で作業しよう。
特に斜めに切り出したい時などは、惜しまず在庫を使い切るつもりで刃を交換して。
思っている以上にすぐカッターの刃はダメになってしまうので、使い捨て前提で安い物をたくさんストックしておくのがおすすめ!
モチーフを切り出してみた
まずは、COSボードとEVAシートを型紙に合わせてカッターで切り出す。
△ EVAシートを型紙に合わせて切り出す。ふにゃっとしているので、ピンとさせたかったら裏に何か芯を入れる方がいいかも。
△ 柔らかい分、爪で押しすぎると跡が残ってしまう。端を斜めに切り出す際は、よく切れるカッターでゆっり作業しないと汚くなってしまうので注意!
ここでの大きな違いは、やはり素材の固さ!
同じサイズ、同じ厚みで切り出しているが、角やエッジがピシッとするのはCOSボード。だが、細部を気にしないのであればEVAシートでもまったく問題ないと感じた。
△ COSボードはしっかりしているので、切り出しも削りだしもやりやすい。厚みに種類があるので、ベースの方は厚めにできるのも◎。
△ EVAシート、COSボードともにモチーフを切り出した状態。
次に、切り出したパーツにドライヤーの熱風を当てて角を丸くする。
やはりEVAシートは柔らかいのでふにゃっとしてしまったが、仕上がりはほぼ同じ。
△ 両方ともドライヤーの熱風を当てて角を落とした。同じ厚さのはずだが、やはりEVAシートはフニャッとなりやすい。
△ 削り出した物を炙ったパーツ。EVAシートの方が溶けてテカリが出やすくへにゃっとしてしまうが、雰囲気はほぼ同じ。
塗装してみた
塗装の違いを確認すべく、それぞれの素材に直接アクリル絵の具と油性塗料で金色に塗装してみた。
下地いらずをウリとするCOSボードはもちろんだが、意外にも100均素材たちも同じように塗料が乗ってくれた。
△ クッションテープ(左上)、EVAシート(左下)、COSボード(右上)、ジョイントマット(右下)
塗料だけでなく、下地も塗って比較してみた。
しっかりしたCOSボードとふわふわとしたEVAシートの強度差は、下地でかなり縮まった。下地にボンドを混ぜればより強度が増しそうだ。
△ それぞれの素材で作ったモチーフに、黒下地を塗ってみた。見た目の差はほとんどない。
結論!「適材適所で使いこなそう」
結論からすると、造形用ボードと100均ボード、どっちもあり!
自分の好みの方を使うもよし、用途に合わせて使い分けるもよし。
それぞれの特徴を理解しておくと、造形のクオリティもアップするよ!
素材で完成度が劇的に変化するわけではなく、作業工程を丁寧にこなせばどちらを使っても問題ない。
上手く素材を使い分けて、製作作業も楽しもう!
△ 金色の塗装をして完成した比較用モチーフ。どちらもほぼ変わりない仕上がりになった。
造形用ボードの特徴
しっかりさせたい部分、ピシッとキメたい部分に使いたい素材。
予算に余裕があるなら抜群に作業がしやすいので、時間を買うつもりでこちらをおすすめしたい。
実際に使ってみると、圧倒的に作業がスムーズになるのがわかるはず!
△ 濃色ベースで作りたい時には、黒のCOSボードか茶色系のジョイントマットの2択。厚みを選びたい時にはCOSボード一択になる。
100均ボードの特徴
予算がない、買い出しを忘れていたという時にはこちら一択。
工夫と手間を加えることで、造形用ボードと遜色ない仕上がりを得ることができる。
ただしお金がかからない分、時間と手間が少々かかるので、どちらを取るかのバランスが重要になりそう。
△ 一見厚みが同じ物でも、実際に作業をしてみるとCOSボードの方がしっかりしており、100均のEVAシートはちょっとヘタってしまう。