【初心者向け】コスプレ造形の基礎知識と必須アイテムを解説!

コスプレ造形を始めたい初心者必見!

コスプレ造形の基本アイテムと基礎知識を、現役コスプレイヤーが解説する。

文:みおし(@miolen320
COSPLAYMODE 2022年3月号掲載記事

目次

コスプレイヤーが教える造形基礎講座

コスプレ造形を始めたいけど、まずなにを準備したらいいの?とお困りの方必見!

今回は“超初心者”向けに、コスプレ造形の基本アイテム「カッター」「ペン」「ボード」「ボンド」の基礎を解説。

この記事を読めば基礎はバッチリ! 

教えてくれたのは…
みおし
【X】@miolen320

世界コスプレサミット2018年日本代表、2024年グランドチャンピオン。

国内だけでなく海外のコスプレイベントにて審査員も務める。壊れない武器造形が得意。

 

 

カッターの選び方

コスプレ造形をする際に相棒となるのがカッター。

切れ味によって、完成時の出来栄えも大きく異なる。

今回は2種類のカッターを比較していこう。

オルファ M厚型刃

「オルファ」のカッターは、用途に合わせて大きさや形が違うので、切る物に合わせて選ぼう。


△ オルファ「M厚型刃」。替え刃は特選黒刃を使用。【Amazon】https://amzn.to/3Dw7CGV


△ オルファのカッターを10〜15回使用した後、5mmのボードを切った断面。切れ味はそこまで落ちず、切り始めが少し凹んでいるくらい。

100均のカッター

どこにでも売っている100均のカッター。今回はダイソーの文房具コーナーで購入した。


△ 100均のカッターも、刃を変えた直後の切れ味はオルファのカッターとさほど変わらなかった。右側は、10〜15回使用した後の断面。ガタツキが目立ち、まっすぐ切れなくなってしまった。

カッターの替え刃はケチらず使おう

100均のカッターは、本体こそ安いものの替え刃をたくさん使用するのでコスパが悪い。

切り口の綺麗さが最終的な仕上がりに関係してくるので、切れ味が悪くなったらすぐ刃に交換しよう!

オルファのカッターでも100均のカッターでも、替え刃は必ず買っておくこと。

替え刃は消耗品! ケチらず使っていこう。


△ オルファ「特選黒刃(小)」。このほかにもいくつか種類があるので吟味して選ぼう!【Amazon】https://amzn.to/4gBtP55

 

 

ペンの選び方

忘れちゃいけないのが、ボードに型紙を描き写す際に使うペン。

造形物を綺麗に仕上げたいなら、それぞれの素材にあったペンを使うのがおすすめだ。

じゃあどんなペンを用意すればいいの?という方のために、シーン別に4種類のペンをご紹介しよう。

白いボードには「黒ボールペン」

白いボードを使うなら、使い慣れたいつもの黒ボールペンがおすすめ。

細かいパーツを製作する際も重宝するので、コスプレ造形でのマストアイテム。


△ 三菱鉛筆「ジェットストリーム」。油性ボールペンならこれじゃなくてもOK!【Amazon】https://amzn.to/4295QpJ

黒いボードなら「金ボールペン」

サンペルカなど黒いボードを使うなら、線が見やすい金色のボールペンがおすすめだ。

色の濃い布などに線を引く際も役に立つ。


△ 三菱鉛筆「ユニボール シグノ スタンダード 金」。ユザワヤでも文房具屋でも購入可能。【Amazon】https://amzn.to/3BzyENf

大物を作るなら「マジックペン」

大物の造形物を作るときに便利なのが、太く濃く、くっきり描けるマジックペン。

ただし線が太いので、カットする際、カッターの刃を入れる位置に気をつけよう。

描き直したいなら「フリクションペン」

カラーペンタイプのフリクション。色の種類も豊富なので、好きな色を使用するのもいいだろう。

こすったり熱を加えると消えるので、薄い色の布に線を引く際に使う人もいる。


△ パイロット「フリクションカラーズ」。カラーペンタイプのものがおすすめ。【Amazon】https://amzn.to/3BAc4UF

 

 

造形の素材「ボード材」を知ろう

サンペルカ、コスプレボード、ソフトボード、COSボード、アシストボード……

コスプレ造形でよく聞く、これらの「ボード」ってなに? どうしていろんな名前で呼ばれてるの?

造形初心者なら疑問に思うポイントを解説! あわせて、ボード以外のよく使われる素材も紹介しよう。

そもそも「ボード」ってなに?

コスプレ造形で使われるボード材は、基本的に発泡ポリエチレン系の素材。

密度が高くしっかりしているので、武器や甲冑などの造形物に使われることが多い。

いろいろな名前で呼ばれているのは、メーカーによって商品名が違うから!

「サンペルカ」は三和化工、「コスプレボード」はコスプレファクトリー、「コーヨーソフトボード(旧名ライオンボード)」は光洋産業、「COSボード」はクラッセ、「アシストボード」はアシストの商品だ。

ホームセンターでの取り扱いは少ないので、ネット通販で購入するのがおすすめだ。


△ コスプレファクトリーの「コスプレボード」。アシストウィッグやクラッセ、ユザワヤ、オカダヤ、Amazonなどで購入可能。【Amazon】https://amzn.to/3DxwcaB

ボードについてはこちらもチェック!
コスプレ造形ボード VS 100均ボード! コスプレイヤー視点で比べてみた コスプレ造形には欠かせない素材「ボード」。最近は100均でも代用アイテムを買うことができる。 でも、ホームセンターや通販で買える造形用ボードと100均で買えるボード...

ボード材以外でよく使われる素材

発泡ポリエチレン系のボード材以外にも、コスプレ造形に使われる素材がいくつかある。

作るものによっては、ボード材ではなくこれから紹介する素材が向いていることも。

自分が作りたいものに合わせて選ぼう。

スタイロフォーム

主に断熱材として使われるスタイロフォーム。

とても軽い素材なので、大型の造形物に使用されることが多い。

「G10Z」ボンドやラッカースプレーなど、有機溶剤系のアイテムを使用すると溶けてしまうので注意!

発泡スチロール

最近は100均でも購入できる発泡スチロール。

軽量かつ厚みの種類も豊富で使いやすいが、専用のボンドを使用しないと溶けてしまうので要注意!

削るとカスが出るので掃除も大変だ。

EPPフォーム

発泡ポリプロピレン系の素材であるEPPフォーム。

発泡スチロールに似てとても軽いので、大型の造形物に向いている素材だ。

「G10Z」ボンドなどが使えるのも魅力のひとつ。

 

 

ボード材を実際に切ってみよう

カッター、ペン、ボードについて勉強したら、次は実際にボードを切ってみよう。

ボードに型紙を描き写す際の注意点と、カッターで切り出す際の注意点を解説する。

型紙を描き写してみた

使用したのは、コスプレ造形でおなじみの「COSボード」。

100均の厚紙で作った5×5cmの正方形の型紙を、マジックペンとボールペンを使って書き写した。


△ 左が黒ボールペン、右が黒マジックで書き写したもの。

マジックペンの場合、かなり線が太くなるのでボードを切る際には注意が必要だ。

細すぎるペンを使用すると描いた線がボードに吸収されてしまうので、太めのペンをセレクトしよう。

黒いボードには金色のボールペンがおすすめ!

黒いボードを使う場合は、金色のボールペンで線を引くのがおすすめ。

金色のボールペンは、黒色のボールペンよりも線がやや太くなるので、マジックペンと同じく切る時は注意が必要だ。

ボードを切る時の注意点

△ 下書き線の内側を切った【A】
△ 下書き線の外側を切った【B】

線の内側を意識して切り出した【A】は、型紙通りの5×5cmに仕上がった。

線の外側を意識して切り出した【B】は、型紙よりも大きく仕上がり、黒い線が見えてしまっている。

黒マジックは線の太さが2〜3mm程度あるので、線の外側を切ってしまうと型紙とサイズがずれてしまう。

コスプレ造形はいくつかのパーツを合わせて作り上げるので、ひとつ2mmほどの誤差でも、すべてのパーツを合わせると最終的なサイズが大きく変わってしまう。

ボードを切る時は、引いた線の内側を切ることを心がけよう。

 

【A】内側を意識して切った場合

線の内側にそってカッターを入れると、型紙をほぼ同じサイズにボードを切り出すことができた。

 

【B】外側を意識して切った場合

線の外側にそってカッターを入れると、型紙より若干大きいサイズに仕上がってしまった。

布を切る時の注意点

布を裁断する際は、縫い代の内側を切るとサイズが小さくなってしまうので、線の真上を切るようにしてみて。

ただし、にじむペンの場合は線が太くなるので臨機応変に。


△ 上から、黒ボールペン、マジックペン、金ボールペン、フリクションペンで引いた線。フリクション以外はどれも見やすい。

 

 

造形で使う接着剤「ボンド」について知ろう

ボード材について学んだら、次は造形でよく使われる接着剤「ボンド」の知識を身につけよう。

ボンドと言っても、誰もが知っているあの「木工用ボンド」とはちょっと違う!

ひとつは持っておきたい万能アイテムと、造形でよく使われる合皮におすすめなアイテムを紹介しよう。

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ひとつは持っておきたい万能ボンド

G17

粘着力が抜群に高く、瞬間接着剤のように使用できる「G17」。

破損したパーツをお直しするのに便利!


△ コニシ「ボンド G17 クロロプレンゴム系溶剤形接着」。ゴム・金属・皮革・硬質プラスチックなどの接着用。【Amazon】https://amzn.to/4h2IZjx

 

Gクリヤー

ホームセンターだけでなく、100均でも売られている優れもの。

名前の通りクリアなので、目立つパーツにも使える。


△ コニシ「ボンド Gクリヤー スチレンブタジエンゴム系溶剤形接着剤」。皮革・布・合成ゴム・硬質プラスチックの接着・補修用。【Amazon】https://amzn.to/4iWWpj3

合皮を貼る時におすすめなボンド

G10

チューブタイプの「G10」は、小物の造形をする人やたまにしか造形をしないという人におすすめのアイテム。

結構水っぽいので、出し過ぎには注意しよう!


△ コニシ「ボンド G10 クロロプレンゴム系溶剤形接着剤」。各種化粧合板、硬質プラスチック・ボード、金属板と木材・スレート・PC板・コンクリートとの接着用。【Amazon】https://amzn.to/4j82XLR

 

G10Z

造形レイヤーさんの家に絶対1缶はある!というくらいメジャーな「G10Z」。

缶が大きいので、百均などで売っているソース入れボトルに入れておくと保存しやすい。


△ コニシ「ボンド G10Z クロロプレンゴム系溶剤形接着剤」。各種化粧板類の接着、各種建築内装工事、家具・木工用。【Amazon】https://amzn.to/4j6IkiU

 

Gうすめ液Z

「Gうすめ液Z」は、Gボンド専用の薄め液。スポイトを使用してお好みの粘度に調整できる。

初心者の場合、ボンドの粘度が高いとうまく塗り広げられないことが多いので、用意しておくと安心。


△ コニシ「ボンド Gうすめ液Z 接着剤うすめ液」。合成ゴム系溶剤形接着剤の粘度調整、接着剤を塗布した後の器具の洗浄、接着剤のはみ出し部分のふき取り用。【Amazon】https://amzn.to/4j1tcU1

G17で合皮を貼るのはNG?

G10よりG17の方が粘着力は高い。

しかし、そのぶん一度貼り合わせてしまったら貼り直しがきかないので、ボード自体が破けてしまったり、布を痛めてしまうことが。

G10は完全乾燥してから圧着をすれば、しっかりと貼り合わせることができる。

G17は完全に乾くとくっつかなくなってしまうので注意。

G17で合皮を貼るのは絶対NG!というわけではないが、用途によって使い分けるのがいいだろう。

 

 

ボンドを実際に使ってみよう

ボンドの基礎知識を身につけたら、次はボンドを使ってパーツを接着する方法をご紹介。

木工用ボンドや瞬間接着剤のようなイメージで、そのまま塗布して貼り付けるのはNG!

今回は初心者向けに、基本的なやり方を解説する。

ボンドの基本的な使い方

1. ボンドを薄く塗りひろげる

2. 完全に乾燥させる

3. もう一度ボンドを薄く塗る

4. 完全に乾燥させる

5.【1】~【4】を貼り合わせるパーツ両方に行い、塗布部同士を圧着させる。

どうして“2度塗り”するの?

1度目の塗りはボードの気泡を埋め、平らにするためのもの。

平らになった表面に2度目の塗りを行うことによって、パーツ同士を均一に貼り合わせることができるのだ!

薄塗りのやり方

1. ボードの上にまとめてボンドを出す。線で出してしまうと塗っている最中に乾いてしまうので要注意!

 

2. ボンドをボードの切れ端で伸ばしていく。

表面が薄くぬれたようになっていればボンドが塗れているので、重ねなくても大丈夫。合皮にボンドを塗る場合は、端が丸まってしまうのでマスキングテープなどで止めておこう。

ボードの切れ端を活用しよう!

ボンドを塗り広げる際は、余ったボードの切れ端を利用しよう。

ハケを使うと、ハケ自体が固まってしまい、ダマができてしまう。

G10とGクリヤーの仕上がりを比較

同じプラスチック用ボンドでも、仕上がりに大きな違いが。

今回は実際に、G10を塗ったボードとGクリヤーを塗ったボードを、それぞれ折りたたんで貼り合わせてみた。

このふたつの仕上がりの違いを比べてみよう。

G10

ボードを折りたたんだ際にはみ出たボンドが、黄色く目立ってしまっている。

造形の表部分や目立つパーツに使用するのは避けたほうが無難。

 

Gクリヤー

その名の通り透明なので、接着面からはみ出ても目立たない!

目立つパーツにはGクリヤーを使うのがおすすめ。装飾など、パーツを上から取り付ける際も便利。

 

 

基礎をマスターしてコスプレ造形にチャレンジしよう!

今回は、コスプレ造形未経験の超初心者向けに、基礎の基礎から解説した。

基礎知識を身につけて必要なアイテムを揃えたら、あとは実際に作るだけ!

まずは髪飾りや装飾パーツなど小さめの造形物から始めてみよう。

慣れてきたら、大きめの武器や防具にチャレンジ!

実践することで身に付くスキルもあるので、どんどん挑戦していこう。

 

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『COSPLAY MODE』2022年3月号

 

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