今さら聞けない!超初心者向け 造型講座【カッター・ボンド編】
造型を始めたいけれど、恥ずかしいくらい知識が全くない!助けて造型有識者…! そんなお困りの初心者さんに救いの手を。今回は造型で使用するカッター、ボンド、ペンに焦点を当て、基礎的な知識をギュギュッと詰め込みました。これを機にあなたも造型デビュー!
解説 みお
世界コスプレサミット2018年日本代表、国内だけでなく海外のコスプレイベントにて審査員も務める。壊れない武器造型が得意。最近はVTuberの公式衣装の製作なども受けている。
[カッター]を選ぼう!
造型をするのに相棒となるカッター。切れ味が違えば完成時の出来栄えも大きく異なります。今回は2種類のカッターを比較していきます!
OLFA M厚型刃
OLFAメーカーのカッターは用途に合わせて大きさや、形が違うので切る物等に合わせて選ぼう。替刃は特選黒刃を使用。
5mmのボードで試してみた
OLFAカッターで10〜15回程使用して切った断面である。切れ味がそこまで落ちず、切り始めが少し凹んでいるくらい。
100均カッター
どこにでも売っている100均のカッター。ダイソーの文房具コーナーで購入。
5mmのボードで試してみた
100均のカッターも替え刃を変えた直後はOLFAカッターとさほど変わらず。10〜15回使用した断面は右側。ガタツキが目立ち、真っ直ぐ切れなくなってしまった。替刃を多く使用してしまうため、ややコスパは悪いかもしれない。
カッターまとめ
100均だからといって安直に安いと思いがちですが、実際はコスパが悪いことも。切り口が綺麗だと最終的な仕上がりも綺麗になるので、切れ味が悪くなったらすぐ替刃に交換しましょう! 別売りのカッターの刃を買っておくのも◎。カッターの刃は消耗品!
ペンを選ぼう
型紙に使うペン、ボードに使うペン、布に使うペン、一体どれを使えばいいの? いざ検証してきましょう。
黒ボールペン
白ボードに使うのに黒ボールペンは引きやすく、線も見やすい。細かいパーツを製作する際も重宝するので、造型でのマストアイテム。
金ボールペン
白いボードには少し見づらいので黒いボード等に使用するのが◎。サンペルカを使用する際は色が黒のみなのでおすすめ。色の濃い布等にも使用可能。Uni-ball Signo 0.8 ユザワヤでも文房具屋でも購入可能。
マジック
太く濃くくっきりと線が見やすく、大物造型等に使用するときに便利。線が太いので、カットする際、カッターの刃を入れる位置には要注意。
フリクションペン
マジックタイプのフリクション。色の種類も豊富なので好みの色を使用するのも良い。擦れば消えるということもあり、薄い色の布に使用する人も。
コスプレボード、サンペルカ、発泡ポリエチレン、スポンジ…ウレタン・ボードを解説
造型に使われる”ウレタン”と呼ばれるボード材。その正しい名前と分類を特殊造型のプロ、キャラクター造型工房TOON MARTの西脇直人さんに聞いてみました!
Q.コスプレボードってウレタンじゃないの?
A.コスプレボードはウレタンではなく発泡ポリエチレンの部類です。本来ウレタンとは主に食器洗いやマットレスの中身に使われている柔らかいスポンジ素材のことを指します。よって多くの造型レイヤーさんが甲冑や武器などに使用している素材は発泡ポリエチレンが正解です。
コスプレボードやサンペルカは発泡ポリエチレンという材質になります。密度が高く固くしっかりしているので、武器や甲冑等に使用される事が多いです。ホームセンターでの取り扱いは少なく、ネット通販などで購入できます。
ウレタンや発泡ポリエチレン以外で造型に使用される素材
スタイロフォーム
とても軽い素材で、主に大物造型等に使用される事が多い。G10Z等のボンドやラッカースプレー等を使用すると溶けてしまうので気をつけよう。
発泡スチロール
軽量で厚みの種類も豊富で使いやすいですが、スチロール専用ボンドを使用しないと溶けてしまうので要注意。削るとカスが出るので掃除も大変だ。
EPPフォーム
見た目は発泡スチロールに似ていてとても軽量で、大型造型に向いている素材に。発泡スチロールで使用できないG10Zボンド等が使用できるのも魅力の一つ。
スポンジもウレタンの一種。造型だと主に肉厚を作る材質とほぼ一緒です。ホームセンター等で手に入ります。
カッターとボードとペンの使用感解説
ここではカッターで切り抜く際に注意すべき箇所を検証していきます。切り方ひとつでサイズがどんどんズレていき、最終的に大幅なサイズオーバーに! そんな失敗をしないために次のことに注意してみよう。
型紙をボードにマジックで描き写してみた
使用したのは100均の厚紙とコスプレ造型おなじみCOSボード。黒いマジックを使い、5cm×5cmの正方形を描き写した。
いざ切り始めてみよう!
線の内側を意識したAは、型紙通りの5cm×5cmに仕上がったが、線の外側を意識したBは型紙よりも大きく仕上がり、黒い線が見えてしまっている。なぜなら黒マジックは線の太さが2〜3mm程になるため、外側を意識して切り出してしまうと型紙+線の太さで出来上がってしまうのだ。左右の太さを合わせると6mm近くなり、大きさのズレが目立ってしまう。造型はいくつかのパーツを合わせて作り上げるので、全てが2mmの誤差でもつもり積もれば1cm近くサイズが変わってしまう。ボードを切る時は型紙を引いた線の内側を切る。自分の中で意識を徹底することで、理想通りの造型物が作れるようになるよ。
▲線の内側を意識してカッターの刃を入れている。すると型紙ピッタリのサイズに仕上がる。
▲線の外側を意識してカッターの刃を入れると、型紙よりも大きくなり、黒い線がはみ出してしまっている。
造型で布を切る場合
布を裁断する際は、縫い代を抉るとサイズが小さくなってしまうので、線の真上を切るようにしてみて。ただし、にじむペンの場合は線が太くなるので臨機応変に。先ほど紹介した4種類のペンを使い、実際に色の濃い布に線を描いてみた。フリクション以外は比較的見やすいので、好みのペンを使って良いだろう。
金ボールペンの場合
金ボールペンは黒のボールペンよりもやや太さが出るので、マジック同様、内側を意識して切り出してみて。反対に細すぎるペンを使用すると、描いた模様がボードに吸収されてしまうので、気持ち太めのペンをセレクトしよう。
用途に合わせて[ボンド]も変えてみよう!
ボードの切り出し方を学んだ次はボンドの知識を身につけよう。合皮貼りに適しているGボンドと呼ばれるボンドも、種類がたくさんあるんです!
合皮貼りに向いているボンド
G10
チューブタイプのボンドなので、小物造型や、高頻度に造型を作らない人にオススメのアイテム。結構水っぽいので出し過ぎに注意しよう。
G10Z
造型レイヤーさんの家に絶対1缶はある。缶が大きいので、百均等で売っているソース入れボトルに入れて使用すると保存がしやすい。
Gうすめ液Z
Gボンド専用の薄め液。スポイトを使用してお好みの粘度にできる。粘度が高いと初心者さんはうまくボンドを塗り広げられないことが多いので、用意しておくと◎
合皮貼りには向いていないが万能すぎるGボンドたち
G17
粘着力が抜群に高く、瞬間接着剤のような用途で使用できるアイテム。破損したパーツをお直しするのに便利。
Gクリヤー
ホームセンターだけでなく100均でも売られている優れもの。名前の通りクリアなので目立つパーツにも使える
合皮貼りはG17じゃいけないの?
G17の方が粘着力は高く、一度貼り合わせてしまったら貼り直しが効かなく、ボード自体が破けてしまったり、布を痛めてしまうことがある。G10は完全乾燥してから圧着をすればしっかりと貼り合わせることができる。G17は完全に乾ききってしまうとくっつかなくなってしまう。ダメではないが、用途によって使い分けができたら良い。
ボンドを実際に使ってみた
造型レイヤーの基本的なGボンドの使い方
1.ボンドを薄く塗り拡げる
2.完全に乾燥させる
3.二度目のボンド薄塗り
4.完全乾燥
1~4を貼り合わせるパーツ両方に行い、塗布部同士を圧着させる。
2度塗りするのはなぜ?
1度目の塗りはボードの気泡を埋め、平らにさせている。平らになった表面に2度目の塗りを行うことによって、均等に貼り合わせることができるのだ。
ボンドの薄塗りのやり方
まず、ボードの一点にまとめてボンドを出す。線で出してしまうと塗りながら乾いてしまうので要注意。ダマになりやすくなってしまう。
ボンドを一点に出し、余ったボードの切端で伸ばしていく。クレープを作る時のようなイメージで。表面が薄く濡れていればボンドが着いているので、重ねて塗らなくても大丈夫。合皮にボンドを塗る場合は端が丸まってしまうのでマスキングテープ等で止めよう。
注意
ボンドを塗り広げる際、余ったボードの切端を利用しよう。ハケなどを利用すると、固まってしまい、逆にダマができてしまう。
G10ボンドとGクリアの塗布面の比較
実際にG10を塗ったボードと、Gクリアを塗ったボードを折りたたんで貼り合わせてみた。2つを比較する。