コスプレ雑誌「COSPLAYMODE」発売20周年!その歩みをコスプレ20年史とともに振り返る!
2010年代「コスプレを取り巻く社会の変化」
10年代にはコスプレの写真表現が成熟期に。ロケーションや撮影術、レタッチを駆使した完成度の高いコス写真がネットを通じて多くの人の目に入るようになったのと、acosta!や池袋ハロウィンコスプレフェスに日本橋ストリートフェスタなど、街ナカコスイベント増加で地域の人の認知度も上昇。世間がコスプレに対して抱く印象も以前よりポジティブなものに変化。コスプレを題材にした漫画作品も登場するなど、コスプレ趣味をオープンにする風潮が強まりました。
▲都市圏を中心に街コスイベントが広がり、その様子はTV、WEBニュースでも取り上げられる。non-noなどのファッション誌でもコスプレをテーマにした企画が掲載。
▲non-noでもコスプレ企画が特集されたことも。
10年代のコスプレメイク
00年代に主流だった、それまでのV系メイクやギャルメイクの濃く盛るメイクから、ナチュラルメイクへ。トレンドメイクで人気のハーフ顔メイクや涙袋メイクなどシェーディングやハイライトを駆使し、濃く見えない高度なナチュラルメイク技術がコスプレイヤーにも広まった。テーピングで目の形や輪郭補正をしたのも10年代。
動画、ステージ、写真集制作…変化するコスプレの”発表方法”
ボカロブームを牽引したニコ動は、歌い手や踊り手など多くのアーティストを輩出。一部のコスプレイヤーもニコ動で生放送やダンス・小道具製作動画を配信し始める。東京ゲームショウやニコニコ超会議のコスプレステージではランウェイやパフォーマンスで舞台に上がるコスプレイヤーも徐々に増加。“動くコスプレ”という概念が萌芽する。
ニコニコ動画からTikTokへ
当初は動画に抵抗感を示す人が多かったが、TwitterやsnowそしてMixChannelやTikTokの登場で数十秒の動画を公開することへの敷居が下がり、気軽に動画を投稿する人も。コスメイク動画が話題に。
▲Tik Tok動画ではメイクテクニックを公開する人も。
写真集とともに急増する同人誌即売会コスプレ参加者
00年代後半はコスイベ急増でコス参加者が減少傾向だった同人誌即売会。しかし撮影した写真を写真集にして発表できる場として、再びコスプレイヤーに注目されるようになってきている。
“一眼レフカメラ1人1台時代”カメラを構えるコスプレイヤーたち
スタジオやロケ撮影イベントが増えた00年代後半〜10年代はじめ、多くのコスプレイヤーたちにとって一眼レフカメラは必携アイテムに。より良い写真を撮るため、マニュアル操作を覚え交換レンズを買い、撮り合いや三脚でコスプレしながらカメラマンも兼任した。一時期はイベント参加コスプレイヤーの7割近くが一眼レフを携えている状態だった。2010年代後半に入るとコスプレイヤーは被写体、カメラマンが撮影と、役割分担していく傾向も。
スタジオ、ロケイベ、レタッチ…撮影に特化していくコスプレ
00年代から続く撮影特化コスプレは、プロ顔負けの写真作品を創り出す活動になっていく。撮影場所、構図をあらかじめ決めて小道具や機材を持ち込み、一日かけて「奇跡の一枚」を撮影し、さらにPhotoshopで細かなレタッチをしてSNSなどで公開。それらの渾身の写真を使ったコスプレ写真集は、コミケでも一大ジャンルとして成り立つようになった。
ホールイベントの衰退とコスプレスタジオの激増
コスプレ撮影に特化したスタジオやブティックホテル、古民家や石切場、チャペルなどのユニークなロケイベを開催する団体が急増。より作品にマッチした背景を求めて多くのコスプレイヤーが利用していく。一方で、00年代に人気だったホール会場イベントは徐々に数を減らすが、撮影よりも交流やホスピタリティの面で発展していく。
特殊撮影と作り込みができるスタジオの登場
あらかじめ撮影セットが組まれたスタジオのほか、水やスモーク、血糊を使える特殊撮影スペースを持つスタジオが人気に。持ち込んだ小道具や装飾を取り付けられる自由度の高いスタジオも登場した。
会員限定からフルオープンへ。Twitterが拓いたコスプレの発信場
Cureやアーカイブのようなコスプレを専門としたSNSから、10年代のSNSの主流はTwitterへ。基本的に誰でも閲覧可能なタイムライン上で写真を公開するようになったコスプレイヤーたちは、作品ファンや同人作家たちと共通のジャンルでの交流を広げるように。Twitterをきっかけに、コスプレ活動をよりオープンに発信していく人が増えたのが00年代までと10年代の大きな変化になった。
コスプレイヤーのスマホとアプリ
自撮りを綺麗に撮れるスマホ写真アプリによって、その場で可愛く綺麗な写真をアップできるようになったこともTwitter隆盛の大きな要因。
コスプレメイクの遷移と進化
10年代には、男性コスプレイヤーのメイク技術も日々進化し、女性に引けを取らなくなった。また女性の男装、男性の女装どちらにも使われるテーピング、アイプチ、フェイスグルーなど目元も輪郭さえも変えるコスプレ専用メイクアイテムが続々発売。コスプレメイク専用ブランドも誕生。
COSPLAYMODEの姉妹誌が続々発売
2010年代はCOSPLAYMODEの別冊が続々誕生。型紙をまとめた衣装製作BOOK。イベントスナップ・投稿で構成したCOSnapに、海外コスプレイヤーのみを掲載した企画やディズニー衣装などコスプレよりも「仮装」を楽しむことをコンセプトとした本を企画。それぞれ好評を得た。
2010年代年表
2010年
【当時の主な人気作品】デュラララ!!、ラッキードッグ1
バンクーバー冬季五輪、宮崎県口蹄疫
ボーカロイドのコスプレ全盛期
2011年
【当時の主な人気作品】TIGER&BUNNY、魔法少女まどか☆マギカ、STEINS;GATE、うたの☆プリンスさまっ♪、僕は友達が少ない、アイドルマスター
東日本大震災、なでしこジャパン優勝、地デジ放送開始、スティーブ・ジョブズ死去、LINEサービス開始
うたプリ、ラブライブ!で2次元アイドルブーム
2012年
【当時の主な人気作品】黒子のバスケ、K、PSYCHO-PASS
ロンドン五輪、スカイツリー開業、IPS細胞でノーベル賞
第一回ニコニコ超会議開催
2013年
【当時の主な人気作品】進撃の巨人、Free!、キルラキル、ラブライブ!、艦隊これくしょん―艦これ―
あまちゃんブーム
2014年
【当時の主な人気作品】ハイキュー!!、東京喰種、弱虫ペダル
笑っていいとも終了、STAP細胞騒動、ソチ冬季五輪、消費税8%へ
COSMODEからCOSPLAYMODEへ名称変更。ACOS創業、週刊誌モーニングにて「コンプレックス・エイジ」連載開始
スマホ保有率60%を超え、スマホユーザー爆発的増加
2015年
【当時の主な人気作品】おそ松さん、鉄血のオルフェンズ、刀剣乱舞、血界戦線、アイドリッシュセブン
北陸新幹線開業、又吉直樹「火花」、マイナンバー制度
刀剣乱舞のブレイクで刀剣ブーム
2016年
【当時の主な人気作品】Re:ゼロから始める異世界生活、名探偵コナン、あんさんぶるスターズ!!、ユーリ!!!onICE
リオ五輪、文春砲、こち亀終了、SMAP解散、PPAP、真田丸、君の名は。、シン・ゴジラ
2017年
【当時の主な人気作品】けものフレンズ、幼女戦記、エロマンガ先生、アズールレーン、僕のヒーローアカデミア、Fate/Grand Order、シノアリス
トランプ大統領就任、インスタ映え
2.5次元ミュージカル年間動員数223万人
2018年
【当時の主な人気作品】ヒプノシスマイク、はたらく細胞、ゾンビランドサガ、ポプテピピック、A3!
平昌冬季五輪、さくらももこ死去
2019年
【当時の主な人気作品】Vtuber、Identity V、第五人格
イチロー引退、五月より元号が令和に
20年もコスプレ雑誌を作ってこれたのも、ひとえに読者のみなさまとコスプレイヤー、カメラマンのおかげです。あらためてありがとうございます。2020年代もまだはじまったばかり。コスプレ文化にどのような楽しさと刺激が誕生するか、20年代も様々な方法で楽しみ、あたらしいコスプレムーブメントが楽しみです。