布の組合わせで縫いやすくする方法

表面がすべる、起毛している、伸びる、厚くて硬いなどなど。どうにも相性が悪くて縫いにくい布同士を上手く縫う方法を知りた〜い。今回はありがち2パターンを克服しよう！　これで布の相性もバッチリだ！！
text ＆ photo椎塚久世

起毛✕合皮

縫い合わせるだけでなく、起毛の縁取りを合皮にしようとすると、なんだか浮いて見えてみっともないぞ…？

フェイクスエード
毛足が短いスエードでも合皮との相性は△。特に衣装で使うスエードは薄手で柔らか。厚い合皮となじまない。
ベロア、ベルベット
ベロアやベルベット×合皮は毛足の方向へすべりやすい。厚地の高級ベルベットなら少し扱いやすいが高価！
クラッシュベロア
毛足の向きがランダムなので合皮のすべり方が読めない。クラッシュベロア自体が柔らかめなのもクセモノ。
ファー、ボア
毛足の長いファーと合皮をミシンで縫い合わせるのはほぼ無理。手縫いで頑張るか、接着剤でくっつけるか。

こんな失敗！ミシンでズレる

合皮用のシリコン押さえを使っても、縫い進めるうちに少しずつ生地がズレて合皮の方がたるんでしまう…。

こんな失敗！仕上がりが浮く

なんとか縫い終わったが、ねじれた仕上がりになってしまった。フチが丸くシャープさに欠けるのも気になるところ。

これが解決テクニック

マチ針でとめても仮縫いしてもズレていく起毛と合皮。ならいっそ貼ってしまえ！！

01.裁ほう上手を使う

本体はポリエステルスエード、縁取りはPUレザーの組み合わせ。双方に裁ほう上手を薄く塗り伸ばす。起毛を寝かせる感じで。

02.アイロンで接着しよう

アイロンはドライの中温でかける。使う合皮によって適温が違うので、本番前に端切れ合皮で耐熱テストしておくと安心だよ。

03.ミシンで仕上げる

一度接着してしまえばマチ針などで押さえなくてもミシンで縫える。時間がないときはとりあえずミシンを省略してしまってもOKだ。

04.ピシッと完成

しっかり角も出てシャープな仕上がりになった。ミシン目を見せたくない部分であれば、裁ほう上手だけで仕上げるのも悪くない。

ストレッチ　非ストレッチ

レオタードや水着系の薄手ストレッチ生地を使った衣装…。伸びまくってしまってヤバイ！

ジャージー生地
伸縮性はあるがそこまで伸び伸びにならずハリもあって扱いやすい。非ストレッチとあわせても何とか縫える。
ストレッチエナメル
伸びない生地とあわせると表面からのミシンがけが難しい。縦横に伸びるタイプの薄地だと難易度大幅アップ。
ストレッチレザー
厚みや伸縮性で難易度が変わる。薄手でよく伸びるほど難易度が高い。表面からのミシンがけも難しい。
ライクラ生地
いわゆる水着やスパッツに使用される薄くてよく伸びるツルツルした生地。ファスナー付けなど高難易度。

こんな失敗！引きつれる曲がる！

ライクラ生地にファスナーをつけたが、見事にガタガタ。見えない部分なので誤魔化せたが、できればキレイに仕上げたい。

こんな失敗！原因のひとつは

ファスナーに限らず、衣装が完成に近づいてから縫う場合は、他の重たい部分に引っ張られてヨレやゆがみが悪化しがち…。

これが解決テクニック

生地が伸びるのが原因ならば、部分的に伸びにくくしてグンと扱いやすくしよう！！

01.伸び止めのテープを使う

接着芯をテープ状にしたような「伸び止めテープ」。これを伸びて欲しくない場所に貼るだけで縫いやすさが段違いになるぞ！

02.アイロンで接着する

ライクラ生地にファスナー付けリベンジ。ファスナーを縫いつける位置が中心になるように、伸び止めテープをアイロン接着する。

03.ファスナーを縫いつける

伸び止めテープを貼った部分だけ普通の布のように非常に縫いやすくなるぞ。伸び止めテープがファスナーを逃がさない印象に。

04.まっすぐ縫えました！

完璧な仕上がりとはいえないものの、伸び止めテープ無しで縫ったものとは比べ物にならないほど、引きつれや曲がりが激減した。

まとめ

今回試した、起毛生地に合皮で縁取りは、合皮のパイピングテープを使うなど他の方法もある。しかし色や幅が選べなかったり割高だったりするので、なるべく安価に解決できる「接着法」を選んでみた。
ストレッチ生地と非ストレッチ生地に関しては、難易度高めな割に意外と簡単な解決法があったファスナー付けに挑戦してみた。こちらも接着するだけで目に見えてクオリティが向上する。参考にしてみてほしい！！