リアルな空気感を撮る! 環境光を再現するライティング術を解説

リアルな空気感を表現したコスプレ写真を撮るためのライティング術をご紹介!
カラーフィルターやソフトボックス、アンブレラなどを使ったライティングを、作例写真とともに解説する。
写真・文:涼子(@ryoko_camera)
モデル:TONO(@tonoM6devil)
イラスト:お米粒
COSPLAYMODE 2024年11月号掲載記事
リアルな陰影を作るライティング術
映画のワンシーンのような写真が撮れる、細部まで作り込まれた撮影ブース。
せっかくなら、環境光をそのまま写したかのようなコスプレ写真を撮りたいもの。
今回は、そんなリアルな空気感を再現するライティング術をご紹介!
カラーフィルターで作る路地裏ネオン風

F値:2.8
シャッタースピード:1/200
ISO感度:160
ホワイトバランス:4600
紫、黄色、緑のフィルターをつけたストロボを、それぞれ下図のような角度から当てる。
顔に当たる左右の色(今回は黄と紫)は似た色ではなく、補色関係にあるような反対の色を選ぶとコントラストが効いてオシャレな印象に。
緑色は髪の毛のエッジに色をつける程度で、斜め後ろの高い位置から当てる。

スタジオの構造を生かして影をつける

F値:2.8
シャッタースピード:1/200
ISO感度:100
ホワイトバランス:4600
スタジオのブース横にあるドアを活用! ドアの開き具合を調整して、被写体に影がかぶらないギリギリの角度にする。
ドアの影はくっきりとついている方が良いため、ストロボには何も付けず直射。
真っ暗な中でやってしまうと、影の中が何も見えなくなってしまうので、環境光が少しだけ入って影の中が明るくなるようなカメラ設定にする。

顔が暗くならないリアル風ライティング

F値:2.8
シャッタースピード:1/200
ISO感度:250
ホワイトバランス:5000
ライティングの配置自体はありがちなものだが、光量バランスを変えてみた。
通常であれば、顔を明るくするために手前のソフトボックスの光を強くしがちだが、それをすると背景まで光が回りすぎて不自然になってしまう。
今回は背後からの髪の毛と肩に当たっているストロボの光量配分を強くし、顔に向けているソフトボックスは顔が真っ暗にならない程度の補助光として使用した。
背景にも光が回りすぎず、上からの光がリアルな雰囲気となる。

備え付けのライトを生かした雰囲気作り

F値:2.8
シャッタースピード:1/125
ISO感度:100
ホワイトバランス:4600

普通にソフトボックスを被写体に当てると上のような写真に。綺麗に撮れているがのっぺりとした印象。
作例もライティングはよくあるものだが、立ち位置や環境光を活かすことを優先!
元々オレンジと緑のライトが付いているブースのため、それ以外の蛍光灯は消し、後ろのネオンなども目立つようなカメラ設定にした。
その上で背景の光にストロボが影響しないよう、背景からは少し離れてもらう。メインストロボも右寄りから打って、できるだけ背景に光が回らないように。
背後からのサブライトは、背景の環境光と全く違う紫を入れることで、いろいろな色が混ざり合う雰囲気を作る。
カラーフィルターを1枚しか使用しなくても、環境光を活かすことで様々な撮影が可能に!

屋内の廃墟風ブースで自然光を作る

F値:1.2
シャッタースピード:1/160
ISO感度:250
ホワイトバランス:4600
撮影のポイントはできるだけ窓に近づくこと。このライティングは光が柔らかく、陰影も自然なグラデーションになるため、顔半分が陰影になってもバランスが良い。
下図Bのストロボは、被写体の髪の毛のエッジや肩を背景から分離するためと、画面全体にフレアを出すためのもの。ソフトボックスなど何もつけずに直射した。
カメラ設定は、陰影側の表情がほんのりわかる程度、光の当たらない背景は暗めになるように設定すると、フレアが引き立ちふわっとした印象が増す。
A → 窓の外からトランスルーセントアンブレラをつけたストロボ2灯を置く
B → 被写体の後ろから後頭部を狙って直射するストロボ

F値:1.2
シャッタースピード:1/160
ISO感度:320
ホワイトバランス:4600
窓の外に大きめのトランスルーセントアンブレラを2灯設置した写真。最初の作例のBを設置する前に撮影できるパターン。
アンブレラがひとつだけだと、光が偏ってしまい本物の自然光のように見えないが、ふたつ並べると窓全体に光が広がり、本物の自然光のように見える。
少し高めの位置から下すように当てると、さらに自然な昼間の光が演出できる。

写真のシチュエーションを考えてみよう
リアル感のあるコスプレ写真を撮りたい時は、まずその写真のシチュエーションを考えるようにしよう。
場所や時間帯など、ある程度シチュエーションを決めておけば、あとはそれにそってライティングを考えるだけでいい。
ただ、リアルな光をライティングで作り出せたとしても、顔が真っ暗になってしまうのはよくない。
リアルなライティングと顔を綺麗に撮るためのライティングがうまく両立できるよう、被写体の立ち位置や向きなどにも気を配って撮影してみよう。
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