廃墟風スタジオを使いこなす! ダーク×ナチュラルな雰囲気を生み出すライティング術

撮影スタジオの廃墟風セットで雰囲気抜群なコスプレ写真を撮ろう!
少ない機材でもできる、ダークかつナチュラルなライティング術を解説する。
写真:涼子(@ryoko_camera)
モデル:すずら(@suzuran_ro)
COSPLAYMODE 2022年11月号掲載記事
廃墟風セットを生かしたダーク×ナチュラルなライティング術
ダークファンタジーやディストピアものなど、ハードな世界観のコスプレ撮影にぴったりな廃墟風スタジオや廃墟風ブース。
雰囲気抜群だからこそ、いつものライティングだと浮いてしまいがち。
廃墟風のセットを使いこなすための、ダークかつナチュラルなライティング術を解説しよう。

カラーフィルターで環境光を再現
F値:2
シャッタースピード:1/200
ISO感度:160
ホワイトバランス:5000
左から、大きめのソフトボックスをメイン光として当てて撮影。
全部が無色の光ではキレイになりすぎるため、オレンジのカラーフィルターを付けたストロボを天井バウンスして環境光の雰囲気を再現。
また、非常誘導灯の緑の光がかぶっているように見せるため、緑のフィルターを付けたストロボを肩のあたりを狙って当てている。
真上からストロボを当てて印象的なカットに
F値:1.4
シャッタースピード:1/640
ISO感度:80
ホワイトバランス:4000
天井の木枠にストロボをクリップで装着し、それを真下に向けて撮影。
モデルの立ち位置はストロボの真下だが、顔を上に向かせるとまだらな光が入ってしまうので、顔に直接ストロボ光が当たらないようにする。
下の写真は、斜め前からソフトボックスを当てたオーソドックスなライティング。
悪くはないが、よく見るライティングでインパクトに欠ける。ダークファンタジー風に撮りたいので、もう少し印象の強い光を作りたいところだ。
後ろからストロボを当ててシルエットを強調
F値:2.8
シャッタースピード:1/400
ISO感度:160
ホワイトバランス:4000
狭い通路のようなブースの場合は、後ろからストロボを当ててシルエットを浮き上がらせてみよう。
ダークな雰囲気を保ちつつ、キャラクターを強調することが可能だ。
前面から当てるバリエーションと同時に撮影できるのも嬉しいポイント。
△ 前からも光を当てるとこんな感じに。
今回は、背後から薄い緑のフィルターをつけたストロボと、薄いオレンジのフィルターを付けたストロボを当てた。
古い建物には取り付けた時期が違う電球が残っていたりするため、そのイメージを再現すべく2色使用している。
暗いスタジオでも明るく柔らかい光を演出
F値:1.4
シャッタースピード:1/160
ISO感度:160
ホワイトバランス:4000
暗いスタジオでソフトボックスをそのまま当てると、大きめのソフトボックスとはいえコントラストが強くなりキツい印象に。
あえてキツい印象にしたいのであれば問題ないが、今回は背景の窓が明るいので、昼間のような明るさで全体的に自然な印象にしたい。
△ ソフトボックスをそのまま当てるとこんな感じ。コントラストの強い写真に仕上がっている。
そんな時は、大きめのソフトボックスで横の壁にバウンスさせよう。
ソフトボックスからの光が直接被写体に当たらないように、ソフトボックスの置き位置は被写体より右。
反射面を大きく作りたいので、ストロボの位置もできるだけ壁から離す。
そうすることで、ソフトボックス1灯しか持っていない場合でも、女性キャラクター向きの柔らかい光を作ることができる。
差し込む自然光のようなリアルな光を作る
F値:1.4
シャッタースピード:1/250
ISO感度:200
ホワイトバランス:4000
先ほど紹介した壁バウンスに、1灯付け足したライティング。
窓の方向に小さなストロボを設置することで、人工的に窓から差し込む光を作り出した。
さらに、カメラのレンズに排水溝ネットをかぶせることで、光芒のような光を再現。廃墟の埃っぽい空気感を演出している。
窓前に置いたストロボは、被写体ではなくカメラに向けると綺麗に光芒が入る。
下の写真は、よくある斜め45度からストロボを当てたもの。
背景含めて全体的にのっぺりとしており、奥行き感がない写真になっている。
背景に窓があるものの、ストロボを当てている位置とは違うのでちぐはぐな印象に。
光芒を出すには「レンズ+排水溝ネット」
カメラのレンズに排水溝ネットをかぶせると、簡単に光芒を再現することができる。
付け方は、レンズフードの上からネットをかぶせてゴムで留めるだけ。
ネットを付けると下の写真のように光が4方向へ伸びるので、その一部(Aの部分)を構図の中に入れて撮影する。
ネットを回して向きを調整すると、光芒が出る角度を変えることができる。
排水溝ネットのメーカーによって光芒の出方が違うので、ぜひいくつか買って好みのものを探してみて!
△ ゴムで留めたところを回して繊維の向きを変えると光芒の角度が変わる。
想像した光をライティングで再現してみよう
今回は廃墟風スタジオや廃墟ブースを使って、ダークかつナチュラルな雰囲気を演出するライティングを紹介した。
自然光が入らないスタジオの場合、ここが本当の廃墟だったらどんな光があるんだろう?と想像しながらライティングを組んでいくのが、リアルな空気感を再現するコツ。
頭の中でシーンを思い描けるかが重要なので、廃墟の写真集や美しい映像が持ち味の映画を見て勉強するのもいいだろう。
レンズに排水溝ネットをかぶせるアイデアは、廃墟風セットでの撮影以外にも使える小技なので覚えておくと便利!
studio 瑞
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