コスプレで学ぶ日本刀 ポージング

日本刀を持ったキャラクターの撮影! なんとなくでできるだろう! と思っていたら、なんだかカッコつかなかった…、SNSにアップしたらダメ出しされちゃった…、なんて経験はありませんか? 
今さら聞けない日本刀の基礎知識である部位名称や刃の向き、持ち方、姿勢。実は日本刀ポージングには必ず押さえておくべきポイントがあるんです。
コスプレイヤー兼殺陣師とスーツアクターの2人が皆さんにその“ポイント”と基礎知識を伝授します!鬼滅の刃だけでなく、BLEACH、ブッチギレ!などの作品全般に使えるのでぜひ参考にしてみてね!
text まめまよ  ADVISER アドバイザー:龍村自斎 photo 涼子 大関敦 Illustration あまね

目次

日本刀の部位名称

刀の部位にはそれぞれ細かく名称があります。コスプレ撮影でも、部位の名称をスタッフ全員と共有しておくと「鯉口に右手を近づけて」など、ポージングの指示がしやすくなりますので、撮影前に共有しとくと◎です。


「正眼の構え」に見る日本刀の基礎知識

基本姿勢・注意点

1.顎は引く。
2.通常、胸はぐっと張って、かつ肩はしっかりと落とす。
3.上半身は、上からつむじを引っ張られているように意識を天井に。下半身は、おへそから下が地面に向かって引っ張られているように足の裏を地面にぐっとつく。これが「腰を落とした姿勢」である。
4.おへその前に柄が来るように構える。おへそから柄までは20cm前後あける。
5.足を前後か左右、肩幅に開く。

【片手で持つ場合】

【両手で持つ場合】


刃やさやの向き ※打刀の場合

打刀の場合、刃を上にして帯や刀ベルトに差す。太刀は逆に下に向けるが、多くのキャラクターはこの打刀を帯刀していることが多いので、「打刀は刃を上向き」「太刀は刃を下向き」と覚えておくと良い。実際抜いてみるとわかるがこの状態が、一番刀を抜きやすい。打刀の場合、刃を上にして帯や刀ベルトに差す。太刀は逆に下に向けるが、多くのキャラクターはこの打刀を帯刀していることが多いので、「打刀は刃を上向き」「太刀は刃を下向き」と覚えておくと良い。


持つ位置

右手を前にして、空間を開けて左手を添える。右手の親指は鍔につけず、人差し指で支えるように触れる。小指と薬指に力を入れて、人差し指と中指は軽く力を込める。左手は柄頭の少し上に添えるだけ。ギュッと握らないように気をつけよう。


キャラクター性を理解する

刀のことだけではなく、自分がやっているキャラクターのキャラクター性を理解し、意識してポージングしてみよう。

若い男性(武士や侍)なら基本と同じようにポージング

気品高い男性や、女性剣士なら、足を少し閉じ、T字に配置して、重心を上めに

賊などの三下キャラクターは、大胆に足を開き、少し肩を内側に巻き、顎を出そう



刀NGポージング

刀を持ったポーズがいまいち決まらない場合はこちらの項目をチェックしてみよう!!

腰が引けている

基本姿勢・注意点の3が意識できておらず、腰が引けてしまっている。そのためへっぴり腰でお尻が突き出て見えるのだ。カメラマンに「姿勢を低くして」と言われると高確率でやってしまうが、自分ではなかなか気づけないもの…まるで自分の背中が壁についているようにイメージしておへそは真っ直ぐ下へ落とす。


猫背

基本姿勢・注意点の2ができておらず、猫背になっている状態。猫背になると力が入らない、弱く見える、自信がなさそうに見える。日本人のほとんどは猫背気味なので最初はやりすぎたかも…と思うくらい胸を張って、それから肩を落とすことを意識してみると良い。撮影前に鏡に向かって練習してみよう!


そり返って切先が下がる

刀は振り上げていないのに切先だけが下がり状態がそりかえっている。これではまるで斧を振りかざしてるようだ。刀を振り上げている表現をしたい時は、肘を耳よりも後ろに固定し、切先が下がらないよう注意しよう。そうすれば上体は真っ直ぐ、そり返らなくても振り上げているように見える。前から撮っても格好がつく。


内股すぎている

女性剣士でも強い設定のキャラクターであれば注意したいのが内股。基本的に弱く見えてしまうので、女性らしく見せたいなら姿勢を高くすることでキャラクター性を見せよう。 ※他の構えでも共通


刀を強く握りしめ、持つ位置を間違えている

振ってみるとわかるが、手と手の間に空間がないと手首が動かせないため、刀はが振りづらい。日本刀は西洋剣と違い、刃を相手の体に滑らせて斬るため、手首のスナップが効かないのは日本刀の理屈にかなわず致命的なのだ。“左手は添えるだけ”というのはあくまで右手で刀を操り、左手で少し手伝うようにするイメージをするための呪文のようなもの。 
※他の構えでも共通


コスプレで映える!「霞の構え」

二次元キャラクターが最も立ち絵などでやっているのが霞の構え。実際にできるととてもかっこいいので写真映え間違いなし!マスターしてやってみよう!

基本姿勢・注意点

1.下半身の使い方は正眼と同じ。
2.刀を構える位置が正眼よりも高くなるので肩が上がらないよう一層注意したい。
3.脇は開き、肩と肘はできるだけ平行線上にあるように。
4.目線は切先のその先の相手に向け、睨みつけるようにすると緊張感が出る。
※目線が下がりすぎて俯き気味になると自信がなさそうに見えるし、顎が上がるとカッコ悪く見えてしまうので気をつけて。
※おでこの前に構えると上段、写真のように顎の前に構えると中段。構える位置によって上段・中段・下段と表現するので覚えておこう! ちなみに鱗滝さんは中段、右端の女性の構えは上段。

「霞の構え」バリエーション

①姿勢を高くして足を閉じる。女性剣士や品のあるキャラクターに。

②座って構える。足は閉じると女性的に。

③座って構える。足を開くと男性的に。



戦いの勢いを見せる「袈裟斬り」

基本姿勢・注意点

1.下半身の使い方は正眼と同じ。
2.肘は顎と同じ高さで、それより上げたり下げたりしない。
3.刀を肩に担がない。
4.振り下ろしたときは切先と両足のつま先が三角になるようにポジションを固定。切先が左足のつま先の延長線上にあり、かつ地面から離れていること。前すぎたり後ろすぎないように注意しよう。

「袈裟斬り」バリエーション 

【姿勢を低く】

【姿勢を高く】

袈裟斬りを止められて鍔迫り合い

「写真の嘘」を使って見栄えをよくしよう。この写真でついている“嘘”は刀の向き。本来は斬る側は刃先を相手の刀身にぶつけますが鎬(歯の表面)をぶつけています。カメラに刃先を見せると、線にしか見えないのでカメラの向きに合わせて歯の表面をしっかり見せてあげましょう。二次元上で表現する「写真」においては見栄えがいいのです。刀の扱いに慣れてきたらルールにがんじがらめにならず、柔軟に考えて撮影してみましょう。

袈裟斬りのNGポーズ!刀をバットのように担ぐ

柄の握り方がまずバットの持ち方であること、それで更に肩に乗せたりするともう刀がバットにしか見えなくなる。


“はじまり”を演出する「抜刀」

基本姿勢・注意点

1.下半身の使い方は正眼と同じ。 ※腰が引けやすいポーズなので注意!
2.左手は鞘に添える。
3.左肩から切先までは一直線になるように。肩や切先が上がっていたり下がっているとNG。
4.目線は切先の、その先を見る。(相手がいる時は相手の目か眉間を見る)


「抜刀」バリエーション

姿勢高く、左手を鞘から離す


座り


姿勢高く。左手を鞘に添える 

抜刀NGポーズ!猫背・引け腰・下半身の意識ができていない

基本姿勢とは逆に上半身のベクトルが下に、下半身のベクトルが上にいくと起こってしまう悲劇。だが慣れていないと大体こうなってしまう。上体が後ろにズレているのも相まって「相手に向かっていこう」という力強さは全く見えない。まずは基本姿勢をしっかり意識して猫背と引け腰に気をつけ、上体は真っ直ぐ体の中心か、少し前のめりになるよう意識しよう。


戦いの“静”を演出する「納刀」「脇構え」

基本姿勢・注意点

1.下半身の使い方は正眼と同じ。
2.脇を締める。※ぎゅっと締めると肩が上がるのでリラックスして肩は落とそう。
3.手元「鯉口を切る」。納刀した状態から刀を抜くときは、左の親指で鍔を押す。右手は刀にほとんど触れず、そっと添えて刀を押さえつけないように注意しよう。これで刀がすぐに抜ける状態に。居合のシーン再現などはこれを覚えておくと◎。

「納刀」「脇構え」バリエーション 

①納刀:姿勢が高め 


②脇構え:姿勢が高め


③納刀:姿勢が低め


④脇構え:姿勢が低め



【作例】刀ポージングで劇的なコスプレ写真を撮ろう

強い相手の隙をつく…!
相手の隙ができるのを狙っている緊張の瞬間。お互いにしっかりと相手の目を見ること。そして手前のキャラクターを強く見せたいときはあえてスッとその場に立っているだけだと余裕を見せることができる。

抜刀しながら繰り出す瞬間
前後に大きく開脚し、右斜め上に切先を。かなりキツいが顔より後ろに切先がいってしまうと変に見えるので視界に刀が見える位置で止める。左手は鞘から離さないように気をつけ、上体はかなり前に。キープが大変なポーズなので無理せず休憩しながら挑戦しよう。

緊張感漂う瞬間
今まさに抜刀しようとしている瞬間。「フー…」と息を吐いてしっかりと肩を落として柄に手を添えよう。戦いの前の静かな緊張感を演出できる。逆に自分より強い相手に追い詰められているのであればあえて肩をあげてみるのもアリだ。

胴抜きで相手を斬った瞬間
切先は真っ直ぐカメラに向け、しっかりと胸を張る。手前の斬っているキャラクターが強く見せるために、奥の斬られている人のポージングも重要。上体を大きく逸らし、つま先で立って膝を曲げ、刀を持つ手が力なくブランとしたポーズを取ろう。斬撃の強さと絶命した瞬間を演出ができ、斬っている側の強さを引き立てられる。対戦ポーズは連携プレーでリアリティを出そう!

片手で持って切先に手を添える
背中と横顔を見せることによって強者感を演出。猫背に注意だが、老父のキャラなどはあえて猫背にしてみてもかっこよく撮れるだろう。太刀や大太刀で撮ってもかっこいいポーズだ。

あえて切先を大胆に下げ、刀を握らず軽く持つ。
左手はブランとおざなりにせず鞘に添えよう。戦いの緊張感はありつつも「手練れ感」を出すことができるので、クールなキャラクターや必死にならなくても敵を倒せるような強キャラに似合うポージング。

二人背中合わせで霞の構え
上下を出すと関係性なども見えていい。位の高いキャラや先輩キャラは立って背を見せると強く見せられる。後輩キャラや一生懸命なキャラはしゃがんだり低く構えて前に立つと、前のめりに戦いに向かう気持ちが見えて良い。

まとめ

・胸を張るときはのけぞらないように注意。
・「腰を落とす」ことは日本刀の構えをすることでかなり重要なのでしっかり意識しよう。
・キャラクター性を理解する
・ポーズが決まらないときはNGポーズを確認

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