【ストロボひとつでOK】明暗、直射…スタジオでストロボでエモい1灯ライティング Vol.1【初心者向け】
SNSで流れてくるエモい写真、コスプレ撮影を始めたばかりではそんなのとても撮れないと思っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、「ストロボ1灯でできるリアルエモライティング」を、簡単な撮り方のコツとともに紹介していきます。
初めてストロボを使う場合、何を揃えたら良いのかわからない!そんなときはこちらを参考に揃えてみてください!お手軽価格で揃えて、コスプレ写真の表現の幅がぐんと広がりますよ。
text & photo 涼子 Twitte:@ryoko_camera
model:ひよ子 Twitter:@torihiyoco
■今回お邪魔したのはこちら
ハコスタジアム東京
40シチュエーション以上のブースが存在する、関東最大規模のコスプレスタジオ。惜しまれつつも10月に閉店となってしまったが、池袋や大阪に系列店もあるため、今回の記事の内容はそちらでの撮影でも参考にしてほしい。
【ストロボひとつでOK】夕暮れ、木漏れ日…スタジオでストロボでエモい1灯ライティング vol.2【初心者向け】
解説の前に伝えたいポイント
まず、今回の解説の意図について先にお伝えさせてください。「この数値の通りに撮影すればいい」というものではないことが大事で、読者様が自分の力で思考して、工夫しながら撮影できるきっかけとなればいいと筆者は考えています。そのため、解説ではカメラの設定自体の数値はあえて入れておりません。
数値を入れると、環境光の明るさが違うスタジオでは応用ができなくなってしまうからです。
その代わり、「ストロボを付けずにシャッターを切ったらこのくらいの暗さになるように設定する」という基準の写真を掲載します。撮影時は元の明るさを参考に、カメラ設定で明るさを近づけてから撮影してみてくださいね。
また、今回は「ストロボに何も付けていない」というのもポイント。ソフトボックスなど何も付けず、クリップオンストロボ1灯のみで撮影していきます。
クリップオンストロボとは
カメラに後付けする外付けのフラッシュのことでスピードライトと言われることもあります。最近のクリップオンストロボは初心者でも使いやすいので扱いも難しくないのです。
筆者は別メーカーのものを使用していますが、ストロボの購入を検討している場合、はじめてストロボに触る方はこちらのストロボがオススメです。
他にストロボ撮影に実際に必要な機材は
・カメラに取り付ける送信機
・スタンドとストロボを連結するS型ブラケット
・ライトスタンド
が、必要となります。
また、ストロボはレンタルを行っているスタジオもあるので、最初はレンタルで試してみてからでもよいかもしれません。気軽に試して、まずはストロボに触れてみて下さい。」
【送信機】
カメラに取り付け、ストロボを発光させる装置。送信機はカメラのメーカーによって商品が異なります。必ずご自身のカメラに対応しているものを購入しましょう。
【S型ブラケット】
コスプレ撮影では一般的にストロボとライトスタンドを接続する際、このような製品を使用することが多いです。一つあればソフトボックスを接続したり、アンブレラを接続したりすることができるため便利な製品。
【ライトスタンド】
ストロボを固定させるスタンド。コレがあると一人での撮影もぐっと楽になりますよ。
同じ場所でもストロボを当てる角度で全く違う2パターン
明るめに撮影するパターン
クリップオンストロボを使って撮影していきましょう。同じ場所でもキャラクターや作品によって違う雰囲気に演出できるという部分が、コスプレ撮影の楽しいところ。今回は明るめ暗め両方のパターンで撮り分けてみました。
明るめに撮影したパターンがこちら。人物から背景まで均等に明るく、適度な陰影が付いている。わざとらしい影などもなく、「ストロボ当てました感」も少ないです。
撮影のBTS(behind the scenes=どのようにストロボを設定しているかの写真)はこちら。ストロボを右手前の壁に反射させているのが分かると思います。ストロボを右手前の壁に反射させることで、全体に少し斜めからの光がバウンスするようにしています。カメラマンの真後ろの壁に当ててしまうとのっぺりとしてしまうので、程よい陰影をつけるために右の壁に反射させています。
暗めに撮影するパターン
暗めパターンはこちら。
上記の明るめのパターンと違い、ぐっと夜の雰囲気が出ました。
BTSはこちら。高めの位置からストロボを直射し、まわりにあまり光を回さずに被写体だけに当てることで、夜の街灯をイメージしていています。
カメラ設定のポイント
ただの暗い写真にみえてしまいますが、こちらはストロボを使わなかった時にシャッターだけ切った1枚。明るめも暗めもカメラ設定は変わらずストロボを使わなかったらこのくらいの写り方をします。
ここで見て欲しいポイントは、背景のスタジオの環境光の明るさ。人物はストロボで明るくするため元々は暗く写って問題ありませんが、背景の窓や電飾など内側から光っているものは、ストロボではどうしようもないのです。そのため、そういったストロボではどうしようもない部分を最初にカメラ設定で適切な明るさにしておくことが大事なのです。
背景が屋外設定なのか屋内設定なのかなどを考え、その時にどんな光がきたら自然なのかを考えます。
明るいタイプの方では光が回っていない暗い部分は構図に入れないようになど、全体を見て1枚の写真として自然で成り立つように意識しましょう。
思い切った直射ライティング
ストリート系ファッションフォトのようなカッコいい直射のライティング。ストロボを人物に当てることで、周辺が黒く落ちていることがかっこいい雰囲気をより引き立てています。
BTSはこちら。距離を離しすぎてしまうと、周辺まで光がまわって明るくなってしまいますが、近すぎても被写体の影がパキッとしないのでそのバランスを見ながら程よい場所に調整します。
真正面から1灯で直射する。
カメラ設定のポイント
ストロボをつけないで撮影するとこんな感じ。顔の部分がオレンジに明るくなっているのは何も写ってないとただの黒い画面にしかならないため、モデリングライトでほんのり照らしているだけで、実際は何も写らないくらい真っ暗。
構図は周辺が暗くなる部分がしっかり残るようにします。
逆にストロボを離して背景が全部明るくなっていると、今回のスポットライト風ではなく、真夏の太陽光のようなイメージに仕上がります。
近づけたり離したりを繰り返して好みを見つけましょう。
アンティークルームでコントラストを生かした2パターン その1
全体が暗くて、スタンドライトのような小さくて強めの光が来ているような印象。背景と人物とハイライト部分のコントラストの調整が大事です。
BTSはこちら。本棚の後ろから、本棚の角の影や、机の脚の影が手前につくように壁際から手前に向けてストロボを当てる。ストロボにはオレンジのカラーフィルターをつけることで、周辺のオレンジの環境光と馴染ませます。
カメラ設定のポイント
薄暗いけれど、環境光のみでほんのり全体が見える程度。ストロボを入れた時の、光が当たらない部分をどれくらいの明るさにするかで設定をします。
強い光をストロボで入れるとしても、暗い部屋であることがわかるように、ストロボは強くしすぎないようにします。ハイライトが白飛びしないように注意。
また、色合いは好みに合わせてもいいと思いますが、白くて綺麗な光だと、せっかくのアンティーク風な雰囲気が出ないのでオレンジ系にするのがおすすめ。
あえて引きの写真にして伸びた影をいれることで、全体的な雰囲気をつくりました。
アンティークルームでコントラストを生かした2パターン その2
壁の高い位置についている間接照明から照らされているようなイメージでライティングしました。今回の使用スタジオはそもそも壁に照明が付いていましたが、撮影用としては光量が足りないため、ストロボで補完しています。
BTSはこちら。一番明るい部分は被写体ではなく、本来光っているべき壁にある照明というイメージなので、被写体にストロボを向けてしまうと壁が光源に見えなくなってしまいます。
そのため、壁が一番明るく、そこから漏れてきた光が顔にあたった時にちょうど良くなるように調整しました。
カメラ設定のポイント
こちらも、ストロボなしだとほとんど写らないくらいの暗さでOKですが、あまりに写らなすぎると、光が当たらない部分が真っ暗になりすぎるので、ほんのり環境光で視認できる程度にしておきます。
構図では壁の一番明るいところは入れないようにします。
壁に凹凸がある場所を選んで撮影したほうが、凹凸に影がつき高級感がある仕上がりとなります。
まとめ
今回は少し暗めな作風を中心に、ストロボ直射1灯でできるリアル系ライティングの撮影方法をご紹介しました。
単なる数値の教科書ではなく、どんな表現をしたいかでベースとなるカメラ設定とストロボの位置を決めるかが大事で、それが伝わればいいなと思っています。
1灯直射で撮影する場合は、全体が暗めになるようにカメラで設定をして、明るさが足りない部分を光で塗り絵をする感覚で当てるとうまくいきます。
ぜひ、いろいろな作風をイメージして撮影してみて下さい。
Vol.2では、引き続き初心者の方でも楽しめる1灯ライティングをご紹介しますので、お楽しみに!